第10期 第7回講義


第7回講義は、ディスカヴァー・トゥエンティワン社で編集者の堀部直人先生をおよびしてご講演いただきました。1部では、堀部先生からの講義、第2部では、編集者の仕事を体験するグループワークを行いました。

 

1部では、堀部先生の大学時代の研究内容・副専攻から、編集者になってからのお仕事についてお話いただきました。堀部先生は、東京大学では、行動生態学と物性物理学の境界領域の研究をされていたこともあり、異分野に飛び込む時に便利なマップを作りたいと考えて、副専攻(プログラム2期生)に入られました。副専攻では、科学を世間に広めるために、新聞欄での投稿を行われました。当時の科学研究の時代背景や広い分野に対して興味があり科学を世間に広げるために、”博士”から"科学の営業マン(編集者)"へとキャリアを進まれたそうです。入社後は、営業、戦略室を経て、現在編集部で活躍されています。編集部にて学ばれた情報を伝えるのに大切な3つのこと(1)マーケティング、(2)デザイン、(3)広報・広告を重要視しないと、いい情報が伝わらないことを、実際のディスカバー社の書籍をを元に、ご説明いただきました。

科学論文の出版社と一般書の編集者を比較しての議論などが盛り上がりました。

 

第2部では、編集者の仕事を体験するグループワークを行いました。

塾生が編集者役と筆者役となり、"自分の研究を記した一般書”の企画書を作成した。今回は、書籍のタイトル、要旨、アピールポイントや章立てを考えることにしました。

堀部先生より、「ロマン(その本の面白さ)とそろばん(売れること)のバランスが重要だ」とアドバイスをいただき、ワークに取り組みました。専門分野が異なれば、読者はどこにロマンを感じるのかも異なり、筆者・読者に合わせた編集の難しさを感じました。

最後に発表を行い、各テーマに対して、

・余分な内容は書籍には含まない。

・テーマが狭すぎては、読者に興味を持ってもらえない。

・売れやすいテーマにいかに科学的な面白さを加えるか

などのご講評をいただきました。筆者が書きたいことと売れそうな内容にすることが編集者の技量を示すのだと感じました。

 

博士から、編集者 一見すると異色のキャリアのように感じますが、科学を世の中に広める。科学の営業という立場で、違った角度から、科学に関わっておられました。堀部先生のお話を聞いて編集者への興味が強まるとともに,堀部先生の人柄にも大きな憧れをいただいた回でした.堀部先生ならびにご参加なされた方々にお礼申し上げます.

 

文責 下村優・塚田陽平