第11期第2回講義


 

第2回の講義では、大阪大学リサーチアドミニストレーターの大屋知子様をお招きし、「博士を取り、研究者を支援する」という題目でご講演頂きました。

 

 前半の講義では、大屋様のこれまでのキャリアについてお話頂きました。大屋様は、はじめは漠然と研究者というものを考えていたものの、ポスドクとして研究を続ける中で、最終的に教授となって研究室をマネジメントしていくイメージができなかったこともあり、35歳を目前にして 現在のキャリアに移ることを意識されるようになりました。キャリアチェンジの前には、同じような考えを持った研究者同士の講演会などに参加する中でご自身のキャリアについて考えを深め、現在の研究支援に関わるようになりました。

 研究支援の業務では、博士を取る中で身につけた論理的に考える習慣や、研究者としてのご自身の経験を生かしながら、研究者を支援できており、まだ経験の浅い若手の研究者を支援し、感謝されたときなどには、非常にやりがいがを感じるとのことでした。

 講義の結びとして大屋様のおっしゃった「研究者としての道は外れたものの人生の道が外れた訳ではない」、「研究しか見えていなかった閉じられた世界から、キャリアチェンジを経ることで広い視野を得られた」といった言葉が印象に残りました。

 最後には、研究や研究支援業務の中で得た知財分野などの知識も活かしつつ、例えばそれらの分野の教育にも携わりたい、 という新たなキャリアの夢を語って頂きました。

 

 後半のディスカッションでは、研究支援のあり方や日本のリサーチアドミニストレーターの課題点、研究者のアウトリーチ活動といった、研究者と研究支援に関わる幅広い内容に議論が及びました。「より良い研究支援のためには、研究費獲得の事務的なサポートといったものだけでなく、研究内容を学会などで広くアピールすることで社会へ影響を与えていくことも重要である」、という河田先生の意見には、博士後の自分自身の社会への関わり方を考える上で非常に考えさせられるものでした。

 

文責:工藤宏史