7月の講義では、日経エレクトロクス編集長・東京大学教授・早稲田大学客員教授等を歴任された技術ジャーナリストの西村吉雄先生をお招きし、「イノベーション」・「21世紀の見方」についてご講演いただきました。
イノベーション論については、提唱者であるシュムペーターの議論までさかのぼったうえで、経済学的な観点から深い考察と定義をされました。曰く、イノベーションとは技術革新を意味することではなく、経済システムが自らを時間的に変化させる力のことであり、実現するためには「つなぐ人」が重要になるとのことでした。日本においては、つなぐ役割が軽視されていることを、青色発光ダイオードなどを例に具体的に説明され、塾生一同目から鱗の新認識を得ました。
21世紀の見方については、少子高齢化・エネルギー問題・人口問題等を横断的に議論されていました。6月講義でも未来の見方について石黒先生が触れられたのですが、それとはまた違った観点から洞察されており、非常に興味深く拝聴しました。
全体討論では、「日本でイノベーションを起こすためには」「21世紀をどう生きるか」というテーマに基づいて意見交換を行いました。大学の研究とイノベーションは必ずしも結びつくものではなく、必ずしも結びつけるべきでもないということについては塾生・先生ともに意見が一致することができました。一方、つなぐ人の在り方については今後さらに検討するべき課題として残りました。
文・浅野 周作